住宅ローン中に引っ越しした際の手続き|住宅ローン控除の手続き方法

不動産

引っ越しする際に、住宅ローンの控除について心配ですね。

住宅ローンがまだ残っている状況で引っ越しをする場合、どのような手続きが必要なのでしょうか?また、引っ越し後にも気を付けるべき点はあるのでしょうか?引っ越しをする事情があって、既に住宅ローンが残っている家から引っ越さなければならなくなることがあります。

この場合、特に注目すべきは住宅ローンの控除に関する扱いです。

この記事では、国税庁の情報を分かりやすく解説していきますので、引っ越しに伴う住宅ローンに関する手続き方法や必要な書類について理解することができます。

住宅ローン控除

住宅ローン控除とは、個人が新たな住宅を建てるか、中古住宅を購入するか、または住宅の改修をする際に、10年以上の期間でローンを返済している場合に、自分がそこに住むことになる年から一定の期間にわたり、所得税から一定の額が引かれる制度です。

一般的な住宅の場合、新築住宅の場合は、建物の購入後から10年間にわたり最大で400万円まで、個人が中古住宅を購入する場合は最大で200万円までの所得税が還付されます。

この住宅ローン控除は、住宅購入者が毎年の所得税申告書で申請することで適用されます。

引越しをした場合の住宅ローン控除の適用範囲

住宅借入金等特別控除または特定増改築等住宅借入金等特別控除(以下「住宅借入金等特別控除等」といいます。)の適用を受けるための要件の1つとして下記の要件があります。

個人が、住宅ローン等を利用して居住用家屋の新築もしくは取得または増改築等(以下「住宅の取得等」といいます。)をした日から6か月以内にその者の居住の用に供し、かつ、その年の12月31日まで引き続きその者の居住の用に供していることが必要とされています。

国税庁ホームページ

住宅ローン控除の条件は「住んでいること」

要するに、住宅ローン控除を受けるためには、その家に実際に「住んでいる」必要があります。

しかし、住宅ローン控除を利用している人が、仕事の転勤や他のやむを得ない事情で現在の住宅に住むことができなくなる場合があります。

つまり、引っ越してしまうと、通例住宅ローン控除を利用することができないのです。

引っ越ししても住宅ローン控除を受けられる3つのパターン

しかし、引っ越しをしたとしても、特定の条件を満たす場合には住宅ローン控除を利用することができる可能性があります。

引っ越し後に住宅ローン控除が適用されるケースは、以下の3つに分けられます。

1. 家族全員で引っ越しし、そして再び元の住まいに戻る場合:家族全員が引っ越しをし、また元の住まいに戻る場合は、住宅ローン控除の適用ができます。

2. 単身赴任の場合:単身赴任により引っ越しをする場合も、住宅ローン控除の適用が可能です。

3. 購入年に転勤の命令などにより引っ越す場合:住宅ローンを組んだ年に、転勤の命令などにより引っ越しをする場合も、住宅ローン控除の適用ができます。

以上のように、それぞれのケースにおいて住宅ローン控除が適用可能です。

家族全員で転居して再び戻ってくる場合

住宅ローン控除は、家族全員が一時的に転勤などで別の場所に住んだ後、元の家に戻って入居した場合でも、再び住宅ローン控除を適用することができます。

この再適用が認められるようになったのは、平成15年度の法改正からです。

もし古い情報を持っている場合、再適用ができないと誤解されることもありますが、現在は再適用が可能ですのでご安心ください。

家族全員で引っ越しをした場合、一時的に住まいが空白の期間ができます。

ただし、その後、元の家に戻ってきた場合には、再び住宅ローン控除を適用することができます。

住宅ローン控除は通常10年間の期間に適用されますが、例えば最初の2年を経過した後、家族全員で引っ越しをし、5年後に元の家に戻ってきた場合は、残りの3年間について住宅ローン控除を再開することができます(※ただし、転勤して住まいを空けていた期間の分の控除期間は先送りすることはできません)。

再適用が認められるための要件は、以下の2つです。

住宅借入金等特別控除等の適用を受けていた者が、家族と共にその家屋を居住の用に供しなくなった場合(再び居住の用に供した場合の再適用)

その者が居住の用に供しなくなった日の属する年以降、住宅借入金等特別控除等の適用は受けられませんが、次のすべての要件を満たす場合は、その家屋を再び居住の用に供した日の属する年(その年において、その家屋を賃貸の用に供していた場合には、その年の翌年)以後、残存控除期間につき、この特別控除の再適用を受けることができます。

イ 勤務先からの転任の命令その他これに準ずるやむを得ない事由があること。

ロ 家屋を居住の用に供しなくなる日までに、一定の手続を行っていること。

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二世帯住宅を考える際には、夫婦が転勤する可能性がある場合には特に注意が必要です。

なぜなら、夫婦が転勤すると、親世帯(または子世帯)を扶養することが認められない場合、住宅ローン控除を受けることができないからです。

例えば、夫婦が同じ場所に転勤することが決まっている場合、二世帯住宅を選択し、親世帯または子世帯を住まわせることになっても、なお世帯間の経済的な独立が確保されている必要があります。

これは、住宅ローン控除を受けるために重要な条件です。

したがって、親世帯や子世帯が別の生計を維持している場合、例えば別々に生活費を持っていたり、別々に食事をとっていたりする場合、住宅ローン控除を受けることができません。

このような状況では、住宅ローン控除を受ける資格がなくなるため、注意が必要です。

単身赴任の場合

単身赴任のケースでは、住宅ローン控除を引き続き活用することが可能です。

単身赴任において住宅ローン控除を利用するためには、以下の条件を満たす必要があります。

この単身赴任には、「転地療養」などのケースも含まれることがあります。

単身赴任の場合、まず最初に、住宅ローンを支払っている不動産の所有権が本人にある必要があります。

また、その不動産が居住用であることも条件となります。

あわせて、単身赴任の期間が転地療養を含めて2年以上であることが求められます。

さらに、単身赴任中に自身以外の家族がその住宅を利用している場合でも、住宅ローン控除を受けることができます。

たとえば、転地療養のために家族が住宅に滞在している場合でも、その期間も単身赴任の期間に含まれます。

単身赴任中に住宅ローン控除を利用する場合、確定申告の際に所得税や住民税の申告を行う必要があります。

その際に、所定の書類や証明書類の提出が求められる場合もありますので、詳細な情報は地方自治体や国税庁のウェブサイトなどで確認してください。

なお、単身赴任のグローバルMobilityの形態や条件は、企業によって異なることがありますので、所属する会社の規定や専門家のアドバイスを受けることも大切です。

単身赴任等の場合

家屋の所有者が、転勤、転地療養その他のやむを得ない事情により、配偶者、扶養親族その他生計を一にする親族と日常の起居を共にしない場合において、その家屋の取得等の日から6か月以内にその家屋にこれらの親族が入居し、その後も引き続き居住しており、当該やむを得ない事情が解消した後はその家屋の所有者が共にその家屋に居住することと認められるときは、その家屋の所有者が入居し、その後もその家屋の所有者が引き続き居住しているものとして取り扱われ、この特別控除等の適用を受けることができます。

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購入年に転任の命令等で転居した場合

もしも購入年に転任の指示などで引っ越した場合、再び戻ってきたときから住宅ローン控除の適用が可能です。

これは、購入直後に「突然転勤」が起きた場合を考慮しています。

具体的には、購入年に家族と共にその住居を居住させなくなった場合を、その年の12月31日までとします。

購入年に転任の命令などで引っ越した場合、住宅ローン控除を適用するためには、以下の条件を満たす必要があります。

居住の用に供した日の属する年の12月31日までに、家族と共にその家屋を居住の用に供しなくなった場合(再び居住の用に供した場合の適用)

次のすべての要件を満たす場合は、当初居住の用に供した日の属する年以後(平成24年12月31日以前に居住の用に供しなくなった場合には、当初居住の用に供した日の属する年の翌年以後)、その家屋を再び居住の用に供したときは、その再び居住の用に供した日の属する年(その年において、その家屋を賃貸の用に供していた場合には、その年の翌年)以後、残存控除期間につき、この特別控除の適用を受けることができます。

イ 勤務先からの転任の命令その他これに準ずるやむを得ない事由があること。

ロ 平成21年1月1日以後に、その家屋をその者の居住の用に供しなくなったこと。

ハ 当初、住宅の取得の日から6か月以内にその者の居住の用に供していること。

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引っ越し前に住宅ローン控除を受けるための提出書類

この節で述べた「家族全員で引っ越して戻ってくる場合」の場合、引っ越し前には「転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書」の書類の提出が必要になります。

ただし、「単身赴任の場合」や「購入年に転任の命令等で引っ越した場合」には、引っ越し前までに提出しなければならない特別な書類はありません。

その場合、引っ越し後は住所変更の手続きが主な対応となります。

引越し後は住所変更の対応がメイン

引っ越し後は、まず銀行に自分の住所が変わったことを届け出る必要があります。

銀行からは定期的にお知らせの手紙が送られてくるので、住所変更をしないと手紙が届かなくなってしまいます。

だから、必ず銀行に住所変更の手続きを行いましょう。

住所変更の時には、各銀行が指定する届出書類のフォームに記入して提出する必要があります。

また、届出書類には併せて、以下のいずれかの公的書類のコピーを添付する必要もあります。

具体的には、「住民票の写し」や「住民票記載事項証明書」の原本またはコピー、「個人番号カード(マイナンバーカード)」の表面のコピー、「運転免許証」や「運転経歴証明書」のコピー(両面)、そして「在留カード」や「特別永住者証明書」のコピー(両面)です。

ただし、届け出る書類や添付書類は、銀行によって異なる場合がありますので、必ず自分が住宅ローンを借りている銀行に確認するようにしましょう。

引越しした後の住宅ローンに関する注意点

引っ越し後の住宅ローンについて注意すべき点には、賃貸する場合と売却する場合の2つのパターンがあります。

賃貸する場合の注意点

まず、賃貸する場合を考えましょう。

住宅ローンは、自分自身が住んでいる間に支払われるものです。

しかし、新しい住宅に引っ越す場合、古い住宅を賃貸に出すことも考えられます。

この場合、収益物件となりますが、住宅ローンの支払いを継続する必要があります。

住宅ローンを継続する際には、まず賃貸可能性を考慮する必要があります。

地域の需要や家賃相場を調査し、賃貸収入が住宅ローンの返済に充分な金額になるかどうかを確認する必要があります。

また、不動産の管理や修繕などの費用も考慮する必要があります。

「家族全員で引っ越しして再び戻ってくる場合」と同じ状況の場合、転勤中に自宅を他の人に貸していた場合でも、再び自宅に戻った際には住宅ローンの控除を利用することが可能です。

ただし、他の人に貸していた期間中は住宅ローンの控除の適用ができないので注意が必要です。

再入居の翌年から控除を利用できるようになります。

自宅を他の人に貸す際には、賃貸借契約の形式に注意する必要があります。

定期借家契約と呼ばれる契約形式を選択するべきです。

定期借家契約とは、一定期間が定められた建物の賃貸借契約で、契約の更新がないものを指します。

一方、普通借家契約はアパートや賃貸マンションなどで一般的に使用される契約形式になります。

ただし、普通借家契約では再入居時の住宅ローン控除の利用ができないので、注意が必要です。

定期借家契約と普通借家契約の違い

定期借家契約と普通借家契約の違いは、契約の更新の有無です。

更新のある普通借家契約では、借主の権利が重視され、契約期間が満了した際に借主が更新を希望すると、更新が可能です。

もしも貸主が更新を拒否する場合、借主は立ち退き料を支払う必要が生じます。

立ち退き料の金額には定めがありませんので、借主と合意に達しない限り、契約を解除することはできません。

そのため、普通借家契約で賃貸をすると、転勤から戻った際に入居者を退去させることができず、自分の家に住むことができなくなることがあります。

一方、定期借家契約では、契約が満了すると賃貸借契約期間が終了することが義務付けられています。

転勤時に一時的に賃貸を利用する場合には、必ず定期借家契約を選択することをおすすめします。

売却する場合の注意点

次に、売却する場合を考えましょう。

住宅ローンは、住宅を売却する際に完済されることを想定しています。

したがって、住宅を売却する際には、残っているローンの残高を一括返済する必要があります。

売却価格がローン残高をカバーするかどうかを確認し、売却によって追加の負債を背負わないように注意する必要があります。

ご注意いただきたいのは、売却価格がローン残高を下回る場合、差額を支払う必要があることです。

また、不動産市場の変動や需要の変化などによって、売却時にローン完済が困難になる場合もあります。

そのため、住宅ローンを組む際には、将来的な予測も考慮し、慎重に計画することが重要です。

以上が、引っ越し後の住宅ローンに関する注意点です。

引っ越し後の状況に応じて、賃貸する場合と売却する場合の両方のパターンについて慎重に検討し、最適な選択をすることが重要です。

住宅ローンを返済している物件でも、売却することは可能です。

ただし、住宅ローンがまだ残っている場合、売却時には残りの借金を一括で返済する必要があります。

売却する際に注意が必要なのは、オーバーローンと呼ばれる状況です。

オーバーローンとは、住宅ローンの残りが売却価格を上回る状態のことを指します。

オーバーローンの場合、売却価格だけでは返済には足りず、不足分をどのように準備するかを考えなければなりません。

その場合、貯金を使って不足分を返済するなど、何らかの手段で不足分を補う必要があります。

まとめ

引っ越しをする際には、住宅ローンに関連する書類を提出しなければなりません。

引っ越しの方法によって、住宅ローンの控除の取り扱いが若干異なることがあります。

自身の引っ越しのパターンに合わせて、適切な手続きを行うようにしてください。

以下では、具体的な引っ越しのケースごとに異なる対応策をご説明します。

1. 住宅ローンを完済してから引っ越す場合: もし住宅ローンを完済してから引っ越す場合、特に追加の手続きは必要ありません。

住宅ローンの控除や任意の保険の扱いについても心配ありません。

2. 住宅ローンを引き継いで新居に引っ越す場合: もし住宅ローンを引き継いで新しい住居に引っ越す場合、住宅ローンの引き継ぎ手続きを行う必要があります。

引っ越しの時点で支払いや返済スケジュールに変更がある場合は、銀行や金融機関と連絡を取り、変更の手続きを行ってください。

また、住宅ローン控除の取り扱いに変更がある場合は、税務署に連絡をして状況を説明し、対応策を確認してください。

3. 既に住宅ローンを抱えたまま新居に引っ越す場合: もし既に住宅ローンを抱えている状態で新しい住居に引っ越す場合、住宅ローンの残高や返済スケジュールは変わらないため、大きな手続きは必要ありません。

ただし、住宅ローン控除の対象となる税金や任意の保険の扱いについては、現在の住居と新しい住居の違いに注意してください。

特に、住宅ローン控除の対象となる住居には居住している必要がありますので、正確な情報を税務署に提出することをお勧めします。

引っ越しの際には、自身の状況に適した対応策を選択する必要があります。

既存の住宅ローンに関する書類や手続きについて、銀行や金融機関、税務署と十分な相談をして、正確な情報を提供するようにしましょう。

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