日本では、南側に面した一戸建ての需要が非常に高いです。
これは南向き信仰の文化が根付いているためです。
しかし、道路に面して建てられた北向きの一戸建てが全く住みにくいわけではありません。
実際に、北向きの一戸建てには独自のメリットが存在します。
北向き道路に建てた一戸建てとは?
建築物の建設には、通常2メートル以上のスペースが必要であると建築基準法によって義務付けられています。
具体的には、建物が建てられる敷地は、道路と接している必要があります。
北側の道路に接している一戸建て住宅は、敷地の北側が道路に面しているケースを指します。
日本では、一般的に南側の道路に面している土地の方が人気があり、北側の道路に面している土地よりもよりよく取引されると言われています。
北向き道路に建てた一戸建てのメリット?
北向き道路に建てられた一戸建てのメリットについて見ていきましょう。
建物の高さ制限が比較的緩やか
住宅や建物の高さには、いくつかの規制が存在します。
その中でも「斜線制限」と呼ばれる規制は、建物が面している道路の方位によって異なります。
具体的には、「道路斜線制限」と「北側斜線制限」という二つの規制があります。
道路斜線制限は、建物の道路に面している部分の高さを制限することで、道路や周囲の建物の光や風通しを確保するためのものです。
道路の斜面を考慮し、建物の高さを制限することで、周辺の環境に対する影響を最小限に抑えることが目的です。
一方、北側斜線制限は、建物の北側に隣接する土地の採光を確保するために設けられたものです。
北側の隣地との境界線が基準となり、隣地の採光を遮ることがないように建物の高さを制限することが求められます。
東京都などでは、道路斜線制限や北側斜線制限による影響を考慮して、斜めにカットされた形状の建物が見られることがあります。
南や東、西向きの道路に面した建物の場合、道路斜線制限が道路側の高さを制限し、北側斜線制限が北側の高さを制限することになります。
一方、北向きの道路に面した一戸建ての場合、道路斜線制限と北側斜線制限の両方が北側にかかるため、他の方位よりも斜線制限の影響を受けにくいと言えます。
プライバシーを守りやすい
南向き道路に建てられた一戸建ての場合、一般的にはリビングルームを南側に配置することが好まれます。
これにより、リビングルームやバルコニー、庭などは道路からの視線にさらされる可能性が高くなります。
一方、北向き道路に建てられた一戸建ての場合、リビングルームやバルコニーは道路とは反対側の南側に配置することが多いため、住まいのプライバシーを保つことが比較的容易です。
安い価格で土地を手に入れやすい
一般に、北向きの道路に面した土地は、近隣の南向きの道路に面した土地と比較して、通常はより安価で取引される傾向があります。
北向きの道路に面した土地を選択することで、通常は手の届かないような高級地域の土地を手に入れることができたり、建物により多くの費用を投じることができるというメリットがあります。
北向きの土地は直射日光を避けられるため、夏の暑い日や日差しの強い時間帯にも快適な環境を作り出すことができます。
また、北向きの道路は一般的に交通量が少ないため、静かな環境での暮らしや、子供たちの安全を気にする家族にとっては魅力的な要素となるでしょう。
ただし、北向きの土地には一部デメリットも存在します。
例えば、日照時間が短くなるため、植物の育成や日光に依存する活動には向かず、日光を必要とするホビーやスポーツには制約が生じることがあります。
また、北向きの道路に面した土地は風通しが悪くなるため、通風性や湿度管理に配慮する必要があります。
要するに、北向きの道路に面した土地を選ぶことは、割安な価格や快適な住環境を得るための一つの方法と言えるでしょう。
ただし、自身の優先順位やライフスタイルに合わせて慎重な検討が必要です。
北向きの一戸建てのデメリット
次は北向き道路に建てられた一戸建てのデメリットについて見ていきましょう。
1階の南側の日当たりが悪い
南向きの住宅は、一般的に南側に庭を設け、北側は敷地の境界線に近い位置に建物を建てる傾向があります。
この配置によって、北向きの一戸建て住宅は日中の日射しを十分に受けることが難しいため、特に1階は暗くなりがちです。
もし明るさを重視する場合、リビングを2階に配置するか、吹き抜けやトップライトを設けることで、光を効果的に取り入れる住宅を設計することができます。
光熱費が高くなる
北向きの一戸建ての場合、建物の一階部分の南側には日差しがほとんど当らないため、日中でも室内が暗くなりがちです。
そのため、日中でも照明器具を点けておく必要があります。
南向きの庭がジメジメしやすい
北向きの一戸建てでは、南側に庭を作ると、隣に建つ南側の建物によって光が遮られ、庭が日影になる時間が長くなるというデメリットがあります。
そのため、庭が湿気っぽくなりやすく、コケが生えやすく、カビ臭くなることもあります。
しかし、日影の庭でも、ガーデニングを楽しむことは可能です。
半日陰や日陰に強い植物を選ぶことで、シェードガーデンを楽しむことができます。
つまり、デメリットから生まれるメリットもあるのです。
まとめ
北向きの道路に建てられた一戸建ては、いくつかのメリットがあります。
まず、費用の面では、北向きの一戸建ては他の方向に比べて建築や冷暖房の費用が削減される可能性があります。
また、北向きの一戸建ては周りの建物や道路からの視線を遮るため、プライバシーが守られた住まいを実現しやすいです。
ただし、北向きの一戸建てには注意点もあります。
特に、日中家にいる時間が長い人にとっては、北向きの一戸建ては暮らしにくいかもしれません。
北向きの家は太陽の光が少ないため、室内が暗くなる可能性があります。
また、日中の時間帯にも光が入りにくいため、室内が寒く感じられることもあります。
しかし、平日は仕事に行っていて、休日はレジャーに出かけるなど、日中家で過ごす時間が少ない人にとっては、北向きの一戸建てのデメリットをさほど感じられないでしょう。
彼らにとっては、建物周辺の状況よりも、ライフスタイルや予算などがより重要な要素になるかもしれません。
そのため、ライフスタイルなどによっては、北向きの一戸建ても住まい探しの選択肢に入れてみる価値があります。
総じて言えることは、北向きの一戸建てにはメリットとデメリットがあり、各個人の状況や好みによって適さない場合もあるということです。
住まいを探す際には、自身の生活スタイルや予算などを考慮しつつ、慎重に選ぶことが重要です。