不動産を購入するには
不動産を購入する際の手続きと注意点について詳しくご説明いたします。
不動産の販売には「売主物件」と「仲介物件」という2つのタイプが存在し、それぞれ異なる手続きが必要です。
売主物件とは、不動産会社ではなく直接売主から購入する形態のことです。
一般的には、不動産会社が売主となることが多いです。
売主物件のメリットは、仲介手数料がかからず連絡もスムーズに行える点です。
ただし、物件探しや金融機関との手続きは自分で行わなければならないため、注意が必要です。
一方で、仲介物件は不動産会社が買主と売主の間に入り、売買を仲介してくれる形態です。
仲介物件のメリットは、金融機関との手続きや価格交渉など全てを不動産会社がサポートしてくれる点です。
特に初めての物件購入者にとっては安心感があります。
しかし、仲介手数料がかかるため、メリットと手数料を比較して判断する必要があります。
仲介手数料の上限は物件価格に3%を乗じた金額に6万円を加え、その合計に消費税を加えたものです。
例えば、4000万円の物件を購入した場合、最大で138.6万円の仲介手数料がかかることになります。
以上が不動産を購入する際の流れと注意点です。
お考えの方はぜひ参考にしてください。
不動産物件を購入する際に考慮すべき条件
売主物件と仲介物件の流れは基本的に同じですが、詳しく見ていきましょう。
まずは購入する物件の希望条件を決定しましょう。
ただ現在の条件だけでなく、将来の見通しも考慮して決めることが重要です。
以下の項目を考える際に留意すべきポイントです。
・物件価格
・間取り
・立地
・交通の便
・周辺環境
・築年数(新築か中古など)
これらの条件は、将来数十年にわたって住むことを想定して考える必要があります。
物件を選ぶ際のポイント
希望条件が決まったら、具体的な物件を選びましょう。
インターネットでの検索や不動産会社への問い合わせなどが主な方法ですが、重要なのは「実際に現地を訪れる」ことです。
現地訪問によって、物件情報だけでは分からない本当の姿が明らかになります。
希望条件に合致する物件かどうか判断するためには、現地で以下の情報を確認することが推奨されます。
・周辺環境(駅からのアクセスや騒音など)
・物件の状態
・日当たり
・窓からの景観
資金計画の立案
次に、資金計画を立てます。
ここでの資金計画とは、不動産を購入するための資金をどのように調達し、返済していくのかを計画することです。
資金計画を事前に立てておくことで、無理のない予算と返済プランを考えることができます。
具体的には以下の項目を試算する必要があります。
・自己資金となる頭金
・住宅ローンの借入額と金利
・物件購入にかかる諸費用(印紙代、手数料、税金、保険料、固定資産税、修繕積立金など)
・リフォーム費用
・家具代
・都市計画税
これらの費用を計画し、スムーズな資金繰りを実現しましょう。
購入手続きを進める
購入手続きを進める際には、まず不動産会社に対して「不動産購入申込書」という書類を提出する必要があります。
この書類は、物件を購入する意思があることを売主に示すためのものです。
不動産購入申込書は、仲介物件の場合は仲介業者が準備しており、売主物件の場合は不動産会社が用意していますので、一から書類を作成する必要はありません。
なお、この不動産購入申込書は「売買契約」とは別物で、あくまで売主に対して「買いたい」という意思表示をするための書類です。
したがって、提出後でも購入をキャンセルすることができます。
また、新築マンションの場合、不動産購入申込書を提出する際には申込証拠金を支払うことがあります。
これは「本当に購入する意思がある」ことを示すために売主に対して支払う費用であり、実際に売買契約を結ぶ際には一部が手付金や印紙税などの諸費用に充てられることが一般的です。
住宅ローンの審査を受ける
住宅ローンを申請する前に、まずは住宅ローンの事前審査を受ける必要があります。
事前審査は、申請者の信用情報や返済能力などを簡易的に審査するもので、正式なローン申請の前段階となります。
本審査に比べて事前審査は短期間で結果が出ることもあり、必要な情報も最小限ですますことができます。
事前審査を受けることで、物件購入の契約をする前に「実際にローンを組むことができるのか」といった点や「借入金額の予測」を行うことができます。
契約内容を確認する
契約内容の確認は、不動産会社に所属している宅地建物取引士が対面で重要事項に関して説明を行います。
この際に主に説明される内容は以下の通りです。
不動産の購入には、さまざまな法律や制度が関わっています。
実際には、登記事項証明書などの書類に記載された内容を確認するだけではなく、宅地建物取引士からの説明だけに頼らず、必ず自分自身でも契約内容を確認しましょう。
以下に注意が必要な点を3つ紹介します。
①物件情報の確認 物件情報が適切に記載されているかを確認しましょう。
例えば、登記内容と物件情報が一致しているかどうかを確認することで、不動産の所有権や負担事項などを把握することができます。
②金額や支払日の確認 契約書に記載された金額や支払日が正確であるかを確認しましょう。
特に、固定資産税や都市計画税の負担分が売主と買主とで公平になっているかどうかも確認しておくべきです。
③契約内容の異なる対応 もしも契約内容と異なる事実が発覚した場合には、どのように対応するかも確認しておきましょう。
例えば、修正書や追加契約書を作成するなどの対応が必要になるかもしれません。
以上の点に注意しながら契約を進めていきましょう。
また、住宅ローンの契約や物件の引き渡しも重要なポイントですので、しっかりと確認しておくことが大切です。
物件の内覧を行う
物件の内見を複数回行いましょう 不動産物件を購入する際には、必ず物件の内見を複数回行うことが重要です。
何度も内見する理由としては、以下の点が挙げられます。
まず、周辺の雰囲気や環境が昼間と夜間で異なる可能性があるためです。
また、物件の日当たりや採光具合も確認する必要があります。
さらに、天候の変化によって物件に関する問題や懸念事項が明らかになることもあります。
要するに、様々な条件で物件を見ることで、新たな発見や懸念事項が浮かび上がることがあるのです。
内見をする際には、以下のような条件下で行うことをおすすめします。
平日と休日、朝・昼・夜、雨の日と晴れの日など、条件を変えて内見することでより詳細な情報を得ることができます。
不動産の購入は人生において大きな買い物ですので、手間はかかるかもしれませんが、何度も内見することが大切です。
耐震性の確認
耐震性の確認が必要です 不動産物件の購入を考える際には、必ず耐震性を確認することが重要です。
特に中古物件を購入する場合には、注意が必要です。
1981年6月以前の建物は「旧耐震基準」に基づいて設計されており、最低限の耐震性が要求されていました。
それに対して、現在は「新耐震基準」が適用されており、より高い耐震性が求められています。
ですので、1981年6月以前に建てられた物件は、現在の基準と比べると脆弱である可能性が高いと言えます。
また、1981年6月以降に新耐震基準で建てられた物件でも、2000年以降に建てられた物件は「2000年基準」という改良された耐震基準があるため、さらに安全性が高いと言えます。
したがって、希望の物件がある場合には、必ず「1981年6月以前」「1981年6月〜2000年」「2000年以降」のいずれに該当するのかを確認するようにしましょう。
ハザードマップの確認
ハザードマップを確認しましょう 不動産を購入する際には、ハザードマップを確認することが重要です。
ハザードマップとは、自然災害が発生した際に危険と思われる場所を示した地図のことです。
自然災害は日本ではよく発生する現象であり、豪雨や地震などが起こることも珍しくありません。
ハザードマップを確認することで、過去の自然災害の被害状況や危険性を把握することができます。
また、購入を検討している物件がハザードマップ上で危険なエリアに位置している場合には、より注意が必要です。
そのため、物件の購入を検討する際には、必ずハザードマップを確認し、自然災害のリスクを適切に評価するようにしましょう。
万が一地震や水害などの災害が発生した場合、物件の周辺は危険に晒される可能性があります。
例えば、河川の近くにある物件は水害の際に浸水被害を受けるリスクが高くなります。
このような危険エリアは、ハザードマップという地域ごとの情報で示されています。
国土交通省が運営するハザードマップポータルサイトを通じて、ハザードマップを確認することができます。
物件を購入する前に、必ずハザードマップを確認しましょう。
不動産の購入時に発生する費用について知ろう
不動産の購入には、物件の費用だけでなくさまざまな費用が発生します。
物件だけでなく、購入に向けて事前に準備が必要な費用もありますので、しっかりと調べておきましょう。
具体的には、仲介手数料、住宅ローン手数料、登記費用、手付金、火災保険料、水道加入負担金、家具購入費用、引越し費用、(マンションの場合は)修繕積立金などがあります。
不動産会社と話を進めるタイミングから、実際に費用を準備するまでには時間がかかる場合があります。
そのため、不動産購入の意思を固めた時点で、必要な費用の内訳を明確にしておくことが重要です。
不動産の引き渡し前に確認すべきポイント
不動産を引き渡す前には、以下の事項を詳細に確認する必要があります。
これらの点が確認済みでないと、将来的に問題が生じる可能性があります。
・図面との相違:実際の物件の状態が建築図面と一致しているかを確認する必要があります。
設計図との相違がある場合、後々トラブルの原因となり得ます。
・日当たり:引き渡し予定の物件が十分な日当たりを受けるかを確認する必要があります。
十分な日光が届かない場合、生活の快適性に影響を及ぼす可能性があります。
・家具の配置:物件内に家具を配置する場合、配置が適切かどうかを確認する必要があります。
家具の配置が不適切な場合、生活の利便性や動線に問題が生じる可能性があります。
・周辺環境や音:物件周辺の環境や騒音について調査する必要があります。
近隣に騒音源があったり、周辺環境が不快であったりする場合、生活環境への影響が出る可能性があります。
・水まわりの不備:水回り(キッチン、浴室、トイレなど)に不具合や不備があるかを確認する必要があります。
水まわりのトラブルは生活に大きな影響を与える恐れがあります。
・設備の不足:物件に必要な設備(エアコン、暖房器具、給湯器など)が不足していないかを確認する必要があります。
不足している場合、後から設置する手間や費用が発生する可能性があります。
・臭い:物件内や周辺に異臭がないかを確認する必要があります。
異臭や換気の不備がある場合、居住環境に悪影響を及ぼす可能性があります。
・防音:物件内の防音性能を確認する必要があります。
特に共用部分や隣接する部屋からの音が聞こえる場合、プライバシーに関わる問題が生じる可能性があります。
・部屋の傾き:物件の床や壁などに傾きがないかを確認する必要があります。
傾きがある場合、建物自体の安全性に影響を及ぼす可能性があります。
・湿気:物件内に湿気やカビの発生がないかを確認する必要があります。
湿度の高さやカビの存在が健康に悪影響を及ぼす場合があります。
・電波:物件内で十分な電波が受信できるかを確認する必要があります。
電波の受信状態が悪い場合、通信やインターネット利用に支障をきたす可能性があります。
・コンセントの位置の不備:物件内のコンセントの配置や数に問題がないかを確認する必要があります。
コンセントの不足や位置の不便さが生活の利便性に悪影響を及ぼす可能性があります。
・近隣住民:物件周辺の住民の特性や生活環境について調査する必要があります。
気になる近隣住民がいる場合、ストレスやトラブルの原因となる可能性があります。
・周辺の治安:物件周辺の治安状況を確認する必要があります。
治安が悪い地域の場合、安全性やセキュリティの問題が生じる可能性があります。
・交通手段の問題:物件までの交通手段やアクセスの便利さを確認する必要があります。
交通不便な場所や交通事情の悪い地域の場合、日常の移動に支障をきたす可能性があります。
・買い物の利便性:物件周辺にコンビニやスーパーマーケットなどの買い物施設が適切な距離にあるかを確認する必要があります。
買い物の利便性が悪い場合、日常の生活に不便を感じる可能性があります。
以上の点を事前に確認しておくことで、不動産購入時のトラブルを減らすことができます。
また、内覧時に見落とした点が後から気付くことが多いため、カメラやメモ帳、筆記用具、設計図、間取り図などの持ち物を準備しておくことも重要です。
まとめ
不動産購入は良く調べて迅速に行動することが購入する秘訣です。
これらの準備を進めて、不動産の購入に備えましょう。